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(5)低コストでの防止対策
建設費は、既存の侵食防止対策より低コストである。また、設置後は、ポンプの運転管理費が主たる費用である。
3−1 BMSの発見(Discovery of BMS concept)
デンマーク地質技術研究所(DGI)は、1981年北海センター向けクリーン海水採取プロジェクトに参画、排水システム1基(延長200メートル)を汀線から5メートル内陸寄りに敷設、1981年9月稼働し毎時270m3取水した。冬期間中、海水流入量減少が連続して観察され、翌年3月には初期値の約60%になった。
調査の結果排水システムは機能していたが、砂が沖の方向に付いており汀線は排水システム敷設位置から20〜30m移動していた。
結論として増殖した砂による汀線移動が減水に結びつき、砂の増殖は波の遡上現象の海水が排水システムヘ流れ込み、戻りが減少していた為と判明した。従って新たに排水パイブ220mを延長し、1982年11月稼働した。
延長による結果を記録するためシステム総延長を75メートル毎に5ヶ所設定し、その断面を調査した。3ヶ所は排水システムをカバーし、2カ所は施設外南西部分に設けられた。1982年〜1983年冬期5ヵ月間の記録要約によると、排水ゾーンは明らかにかなりの量の砂がつき沖にも延びており、モニタ期間終了迄には汀線は排水システム前25mに安定していた。その後数年間に渡る事後調査は、モニター期間中に到達した結論を裏づけている。
当施設に関しては、ヒルサルス市当局が他の海岸養浜のため、毎秋、砂25,000m3輸送を恒例としている。
3−2 システム榎要と機能
(Description and Function of The System)
ビーチマネージメントシステムは、汀線に沿って適度に地下水面レベルを下げ、前浜底質層内に不飽和水状態を設ける。それは殆ど水平に敷設されたフィルターパイプ

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Fig.4 典型的システム敷設例(A typival BMS installation)

で排水することにより可能となる。海水は自重でポンプ・ステーションまで流れ、以後ポンプ排水される。海水は海へ戻すほか、淡水化プラント、海水プール、水族館、酸欠潟などに応用できる。
排水により生成された減圧・不飽和水層により、遡上波の戻りは夏の静かな低周期波のそれのように、通年下方浸透することが可能となる。同時にそれは、引潮による侵食を促進する前浜の海方向へ漏水する、地下水面に対する対策ともなる。前浜の地下水面は微小ながら波の遡上現象あるいは満潮により上昇するのである。
低下した地下水面は、海へ流れ込む他の局所的地下水漏出をカットする役目をはたし、また海底と砕波帯下層土内の水圧は減圧され、水は下層土との境界線を越えて排水システムに向かって流れる。
かくして海浜勾配が安定し、遡上波の戻りを減少させながら、当該システムは波の流れ、波による液化、漏水等による侵食を減少させ、そして前浜に砂を残すことができる。システムは静かな海浜のみならず暴風海浜でも排水可能である。
ポンプを作動することにより、機能を管理することができる。ポンプの停止により、排水施設管理下にある前浜の

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Fig.5 低下した地下水面断面図(Cross section lowered water table.Principles)

 

 

 

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